高齢者住宅 大阪明日へのステップ
F、Fは民間金融機関から住宅融資を買い入れて、それを担保に小口証券を作り、それに保証を付けて販売する証券化業務を手がけていた。
両公社でこの証券化の残高は3兆6000億ドルにも達していたが、簿外扱いでそれに見合う自己資本を積んでいなかった。
サブプライムローン問題でCグループなどの民間の簿外取引が問題になったが、最大の簿外取引を手がけていたのはF、Fだった。
実は、R・Bは両公社に食い込んでこの証券化業務を推進し、両公社の中身を熟知していた。
そのRが公社の実態を暴露した格好になった。
両公社の株価は暴落し、7月日目、P財務長官は必要なら両公社に公的資金を投入する方針を表明した。
両公社支援の方針は、住宅救済法として法案化され、7月初日に成立する。
この法律に基づいて9月7日、政府は両公社を公的管理下に置いた。
フアニーメイ、フレディマックの混迷を受けて、簿外取引の会計基準強化への懸念が強まった。
議会から会計基準改正の先送りを求める圧力が強まり、FASBは7月末に簿外取引に関する基準の変更を2010会計年度まで先送ることを余儀なくされた。
6月、FASBは1年遅れで基準変更を実施することを明らかにした。
抜け穴を許したFAS140を、FAS166に改定した。
証券化のような金融資産の移転に関する会計で、開示を大幅に増やして透明性を高めると共に、開示を逃れられる「資格ある特別目的機関(SPE)」を廃止する。
FASBのR・H会長は「簿外取引が投資家の損害につながるとの懸念に応え、既存の会計基準を変える。
証券化やSPEに関する基準を厳しくし、例外は設けない。
開示項目を増やし、投資家にとって会社やリスクに関する透明性を高める」と強調した。
この基準は2010年から適用される。
今後は、簿外扱いにされているSPE、SPC(特別目的会社)などに連結圧力がかかることになる。
すでにシティなどはSIVの連結を迫られているが、影響はSIVにとどまらない。
大きいのは企業のSPE、SPCだ。
企業はバランスシートを圧縮することで格付けを上げようと、簿外にSPEを設けてきた。
こうしたSPEの一部についても連結を求めていく方向だ。
例えば、不動産会社が簿外のSPCで実施しているような不動産開発は、連結が求められる。
一部の会社では、SPCを使って保有する資産が、本体で保有する資産を上回る。
その場合、SPCを連結すれば会社の資産が倍増して自己資本比率が急低下し、格付けが引き下げられかねない。
影響が大きいため、SPEなどの完全連結が求められるのは2010年代半ばの方向だ。
その時点に向けて「簿外」を活用するビジネスは縮小を求められる。
簿外のSPEが保有していた資産などは売却される。
1990年代以降の金融の膨張は表のほかに、簿外という裏のシステムが支えていたが、それが消えることで金融の膨張は正常化に向かう。
簿外によるかさ上げ分が消えていくことで、金融にはデフレ圧力がかかる。
それはいわば簿外バブルの崩壊で、経済に激しい痛みを生じることが予想される。
一方、4月に開いたG7首脳会議(金融サミット)では、会計会社の会計基準を改善する必要があるとの見解で一致した。
首脳宣言の中で「評価・引当基準の改善および単一の質の高いグローバルな会計基準の実現に取り組む」と明記された。
会計基準は複雑で質が低いことを、首脳が批判したのだ。
金融システム強化に対する宣言で、金融商品に関する会計基準の複雑さの解消、貸し倒れ引当に関する認識の強化、引当、簿外取引、評価に対する会計基準の改善、国際的な会計基準の一貫性向上、質が高く単一の国際会計基準の設定に向けた努力、などを要求。
さらに9月のピッツバーグ・サミットでは、会計の国際的な収触を2011年6月までに完了するよう会計業界に求めた。
会計士が簿外を認定すれば、それが銀行のルールの外に置かれるという異常な状況が続いていた。
それは会計士の収益機会をも増やすものだったが、お目こぼしによって厳格なルールをすり抜けさせる、倫理のかけらもない行動だった。
そんな会計のあり方にG7の首脳がレッドカードを突きつけた格好で、この面からも簿外取引にはメスが入ることになる。
SIVは簿外を利用した金融の典型といえるが、実はSIV以外にも銀行の外に巨大な金融が広がっていた。
「ブームのあいだに金融システムの構造は根本的に変わった。
伝統的な銀行システムの外側にある資産が劇的に増えた。
それが危機の対応をより難しくしている」。
2008年6月、ニューヨーク連銀総裁だったG氏は、こう述べている。
伝統的な銀行は、預金で資金を集めて、それを期間の長い融資の形で貸し出し、利ざやを稼いでいた。
監督当局は、銀行に融資が不良化した場合に備えて準備金を積ませ、それが預金を守ってきた。
銀行は預金という特別な商品を扱うだけに、規制も厳しかった。
ところがこの却年で、銀行規制を受けない金融が急拡大する。
資金調達は預金に頼らず、コマーシヤルペーパー(CP) の継続発行で市場から調達した。
融資はあまり手がけずに、住宅融資担保証券をはじめとする複雑な運用商品で資金を運用した。
それは調達の代表である預金、運用の代表である融資を手がけない新しい金融仲介業といえた。
米大手資産運用会社PIMCOのP氏が、後にそうした新しい金融を、「影の銀行システム(シャドーバンキング・システムこと呼んだ。
影の銀行システムの典型は、SIV、SPEなど簿外投資スキームだ。
その資産はCPでファイナンスされている分が2兆2000億ドル、レポ(債券貸借)市場を通じてファイナンスされている分が2兆5000億ドルにのぼる。
そのほかに、証券会社の投資の資産残高は4兆ドル、ヘッジファンドの資産残高は1兆8000億ドルに達する。
G氏は、これらのノンバンク金融システム、いわゆる影の銀行システムの資産総額が、5000億ドルにのぼっていると指摘した。
うち6兆ドルは大手5行が抱えていた。
この時点ですでに、影の銀行システムは伝統的な銀行システムを凌駕する規模に膨らんでいた。
この影の銀行システムは、サブプライムローン問題で破綻する。
典型のSIVは、保有していたサブプライムローン関連資産が暴落し、巨大な含み損を抱え、CPによる調達の道を断たれた。
短期の市場調達、長期運用のビジネスモデル自体が成り立たなくなった。
証券会社もHも、同じ問題に直面した。
9月にRが破綻したのを受けて、G・サックSとM・Sが銀行持ち株会社に転換した。
これは、証券会社による影の銀行システムの行き詰まりを意味している。
短期市場調達ができないため、FRBなどが預金金融機関に用意している手厚い資金供給手段を利用する必要が生じた。
その代償は銀行規制に入ることで、攻撃的な利益追求は難しくなった。
P氏は、「金融は極めて創造的になった。
それは政府のいざというときの後ろ盾が期待できる厳しく規制された銀行システムの中では起きなかった。
合法的に銀行規制の外側に作られた影の銀行システムで、金融は創造性を増した。
この影の銀行システムこそが貸し出しブームを生み出し、その劇的な崩壊をもたらした」と評している。
「シャドーバンキング・システム 金融規制への意味合い」。
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